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前橋地方裁判所 昭和47年(わ)406号 判決

本店所在地

群馬県高崎市倉賀野町二、八四九番地

高崎亜鉛工業株式会社

右代表者代表取締役

池田正栄

本籍

同県高崎市乗附町一、三八四番地の九

住居

右同

会社役員

池田正栄

大正七年二月二一日生

被告人らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官高村七男出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人高崎亜鉛工業株式会社を罰金三五〇万円に、同池田正栄を懲役八月に処する。

被告人池田正栄に対しては、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、高崎市倉賀野町二、八四九番地に本店を置き、資本金二〇、〇〇〇、〇〇〇円で亜鉛鍍金業を営む株式会社であり、被告人池田正栄は、被告会社の代表取締役社長として同社の業務全般を統轄している者であるが、被告人池田正栄は、被告会社の業務に関し、同社の法人税を免れようと企て、材料売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの不正の方法により、あらかじめ所得を秘匿したうえ、

第一  被告会社の昭和四三年一一月一日から同四四年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額は三九、〇六六、〇五五円で、これに対する法人税額は一二、九六二、四〇〇円であつたのに、同四四年一二月二五日、高崎市高松町三三番地所在の所轄高崎税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二二、七三二、一六六円で、これに対する法人税額が七、二五三、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて実際の法人税額との差額五、七〇八、八〇〇円の法人税を免れ

第二  被告会社の昭和四四年一一月一日から同四五年一〇月三一日までの事業年度における実際の所得金額は二八、五八七、一一七円で、これに対する法人税額は九、五七三、二〇〇円であつたのに、同四五年一二月二六日、前記所轄高崎税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇、二四二、九一五円で、これに対する法人税額が二、八八〇、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて実際の法人税額と右申告税額との差額六、六九二、八〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実

一、被告人の

(一)当公判廷における供述

(二)収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書七通および検察官に対する供述調書

一、被告人作成の提出書二通および答申書六通

一、証人白石利行の当公判廷における供述

一、白石利行の検察官に対する供述調書

一、宮沢ハツノの収税官吏大蔵事務官に対する質問てん末書および検察官に対する供述調書ならびに同人作成の答申書

一、生井宏作成の答申書および同人の検察官に対する供述調書

一、佐野康次作成の答申書(二通)および検察官に対する供述調書

一、今井定夫作成の答申書(二通)および検察官に対する供述調書

一、伊藤登喜治、林孝一(二通)、関正、大橋金男、後藤登(二通)栗山俊治、宮原正、青原庄一郎、石原隆吉(二通)、本間芳男(二通)、矢野喜一、伊藤吉一、津金沢志男、宮田正夫、山藤一夫、吉田三郎、立川満、二木昱、金子更生および中井秀雄作成の各上申書

一、高崎税務署長大蔵事務官作成の証明書(所得申告書関係)

一、国税査察官白石利行作成の「簿外預金の各期末残高明細」、「簿外預金の利息明細」、「代表者居宅関係取得明細(貸付金)」、「個人純資産増加額調」、「個人収支計算書」、「代表者に対する貸付金の認定利息計算」、「亜鉛板の消費キロ数の計算」、「簿外亜鉛板のたな卸数量の計算」、「亜鉛材料の売却収入金額およびたな卸金額の計算」、「亜鉛屑売却収入明細書」と題する各書面

一、千代延茂作成の「亜鉛附着量測定試験の結果について」と題する書面

一、収税官吏大蔵事務官作成の亜鉛板確認書二通

一、大蔵事務官作成の45/12号高崎亜鉛工業(株)北越銀行高崎支店調査関係書類、45/12号高崎亜鉛工業(株)大光相互銀行高崎支店調査関係書類、45/12号高崎亜鉛工業(株)新潟相互銀行高崎支店調査関係書類、45/12号高崎亜鉛工業(株)群馬銀行高崎東店調査関係書類、45/12号高崎亜鉛工業(株)日本信託銀行高崎店調査関係書類、45/12号群馬 行熊谷支店調査関係書類

一、北越銀行高崎支店支店長作成名義の証明書三通

一、押収してある総勘定元帳二綴(昭和四八年押一五号の一、二)、元帳二冊(同号の三、四)、銀行勘定帳(同号の五、六)、売上帳二綴(同号の七、八)、仕入帳三綴(同号の九、一〇、一一)、材料消耗帳四綴(同号の一二ないし一五)、出来高日報綴一綴(同号の一六)、作業日報二綴(同号の一七、一八)および出来高日報(同号の一九)

判示第一事実

一、国税収税官吏大蔵事務官白石利行作成の脱税額計算書、ならびに国税査察官同上人作成の調査所得(調査による増減金額)の説明書(二通)、法人税決議書、修正貸借対照表および修正損益計算書(いずれも昭和四三年一一月一日から同四四年一〇月三一日事業年度分のもの)

一、高崎税務署長大蔵事務官作成の証明書(前同事業年度分の確定申告書)

判示第二事実

一、前同白石利行作成の脱税額計算書ならびに調査所得(調査による増減金額)の説明書、法人税決議書、修正貸借対照表および修正損益計算書(いずれも昭和四四年一一月一日から同四五年一〇月三一日事業年度分のもの)

一、高崎税務署長大蔵事務官作成の証明書(前同事業年度分の確定申告書)

(法令の適用)

一、被告人池田関係

法人税法一五九条(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条一〇条(判示第二の罪の刑に法定の加重)、刑法二五条一項

一、被告会社関係

法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項

よつて主文のとおり判決する。

昭和四八年七月一九日

(裁判官 高山政一)

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